【概要】
「逆子」は、医学的には「骨盤位」と呼ばれ、子宮の中で赤ちゃんの頭が上で、おしりや足が下になっている状態のことを言います。自然に治ることも多いのでそのまま様子を見ることが多いですが、出産までに逆子が治らなければ、分娩時に赤ちゃんが危険な状態になることもあるため、帝王切開になるケースがほとんどです。実際には、約5%の妊婦さんが逆子のまま出産を迎えています。
逆子になる原因は色々ありますが、その多くは原因不明です。ただその大きな要因の一つとして「冷え」が考えられます。昔から、「頭寒足熱」と言いますが、頭は冷めて足が温かいのが健康的です。頭は陽の部位で、冷えてバランスを保ち、足は陰の部位で、温かくしてバランスを保ちます。
もし、母体の下半身(陰)が冷えていれば、胎児は最も大切な頭を委ねることができずに、上に頭を移動させてしまうこともあるでしょう。
このように考えると逆子は胎児が自分の体を守ろうとする一種の防衛反応とも言えます。ですから、逆子を治すのに下半身を温めることが重要な一つとなってきます。
【逆子のお灸】
逆子の灸は昔から行われている優れた治療法の一つです。
身体に負担が無く、また矯正できる確立が非常に高いのがメリットです。
逆子の治療に使う代表的なツボは以下の通りです。
至陰(しいん):足の小指の外側で爪の付け根にあるツボ。
三陰交(さんいんこう):内くるぶしの上指4本置いた所にあるツボ。
至陰は体の冷えを取り除き、血行を良くする作用があります。三陰交は子宮の状態を整える作用があり、婦人科疾患に多く使われるツボです。どちらのツボもお灸の熱刺激により、母体の陰の部を調整することにより体内を温めることにつながります。特に三陰交のお灸は妊娠の後期に使うと出産がスムーズいくよう作用します。
これらの治療は、妊娠28週~35週に胎児が逆子と分かった時点で治療を開始することをお勧めします。
それよりも早いと自然に治ることが多く、それ以降では逆に治療による矯正の確立がグッと低くなるからです。おおよそ1~5回までの治療で治る場合がほとんどですが、逆子の矯正は早ければ早いほど確立が高くなるので、妊娠28週以降であればなるべく早く鍼灸治療を始めた方が良いようです。(35週以降でも確率は0ではありませんので、ぜひあきらめずにご来院ください。)
母体や胎児の状態によっては、逆子が治りにくい場合もありますが、普段から身体を冷やさないことを心がけ、バランスのとれた食事をし、ストレスをかかえない様な生活をしましょう。